ギフテッドとは
稀に生まれつき知性が高く、年齢相応ではない才能を見せる子供がいます。
例えば、数学が得意で声をかけても聞こえないほど没頭している子供、教えていないのに芸術的な才能を発揮する子供、大人でも難しいと感じる本を夢中で読んでいる子供、発言の矛盾に気づき論理的な話をする子供などです。
このような子供のことを、「ギフテッド(Gifted)」と呼びます。贈り物を意味するギフト(Gift)が語源となっており、生まれつき突出した才能という意味で、後天的に努力して獲得した能力とは異なります。
ギフテッドは知性が高く、特定の能力が突出している先天的な特性を持ちます。しかし、突出した才能を持つゆえ、子供の頃に周りの子と比較して年齢相応の能力ではないと気付き、保護者や周囲が困り感を抱くことで気づく場合も多いです。

発達障害との関係
ギフテッドを考える上で関連が深いのが発達障害です。
両者の特徴が似ているため、ギフテッドであるにも関わらず発達障害と誤診される子供もいます。また、両方の特性を持っていることもあり、発達障害とギフテッドの特性を併せ持つ子供のことを「二重に特別」という意味で2E(Twice-Exceptional)と呼びます。
この2Eと診断される子供の割合は少なくありません。
ギフテッドは目安としてIQ130以上とされていますが、IQ130以上の人達は色々な疾患を起こす確率も高いと言われているためです。事例として、鬱病や不安障害、自閉症等の割合が3倍以上も高いという研究データもあります。
脳と身体の両方ともが非常に活発な活動をしているため、色々な病気が起こると言われているのです。
能力が高く、激しい感情や凄まじい集中力を持つギフテッド。
こういった子供に対する教育やサポートは、それぞれの才能を理解し、適した環境を整えてあげることが非常に重要だとされています。
ギフテッドの子の能力について
ギフテッドと一言に表しても、どんな能力が長けているかは千差万別です。得意な分野を伸ばすには能力を総合的に見て、強みや個性を見つけることが大事とされています。
例えば、ギフテッドの種類には芸術的な能力、暗記力や学習能力、新しいものを生み出す創造力、リーダーシップや交渉力等があります。ここでは実際に報告されている一例を紹介します。
・芸術的な能力が高い
「音楽理論を学ぶ前から即興で音を合わせられる」
・暗記力や学習能力が高い
「小学3年生に他言語を一度聞いただけで丸暗記する」
・創造直が高い
「小学1年生でパソコンを操作しアニメーションやゲームを作る」
・リーダーシップがある
「発言や行動で周囲の士気を高め、中心人物になる」
ギフテッドの子が友達ができづらいと言われる原因
ギフテッドは天賦の才と言われ過剰に期待を寄せられたり、憧れられたりすることも多く、注目の的になります。その反面、周りと違い同調できない、優秀だと思われているから困りごとがあっても相談ができない等の理由から、孤独を抱えることもあります。
そのため、ギフテッドの子は生きづらさを感じていることが多いとされています。
ギフテッドの抱えている問題は次の通りです。
①他人と違いすぎて孤立する
人間は、個性やアイデンティティを重んじる一方で「共感」や「同調」も大切にします。
「自分と誰かは同じである」「集団の一員として属している」という仲間意識は共感を生み、安心感をもたらしてくれます。
しかしギフテッドは、高すぎる知能や能力があるため、周りに共感することが難しく、また周りから共感されにくいです。物事の考え方や結果があまりにも周りと違ってしまうと、不安や疎外感を抱くギフテッドもいます。
②なかなか他人に理解されない
子供、大人に関わらずギフテッドは高い能力がある故に他人から理解されにくい状況があります。普通の人とギフテッドとでは、知能指数が違いすぎるためお互いを理解できず、衝突してしまうことも珍しくありません。
また、ギフテッドの医学的な診断基準はありません。そのため、明確に自分はギフテッドであるという証明ができないため、周囲の理解を得られず、理解者や友達も作れずに肩身の狭い思いをすることもあります。
③自分の能力を隠し精神が不安定になる
ギフテッドの中には、孤立を嫌い自分の能力を隠して周囲に溶け込もうとすることがあります。むりやり周囲に同調し、自分を押さえこんでしまうのです。
しかしそのような生き方は、常に自分を偽って過ごすことに繋がり、精神的負担を伴います。よって、穏やかに過ごせず人間関係が上手くいかない原因になります。
④嫉妬から人間関係トラブルに発展しやすい
人よりも優れた面を持つギフテッドは、普通の人と比べ好成績を残しやすいです。
仕事で好成績を出したり、学業で高得点を取ったりしますが、それが原因で周囲から嫉妬されることも少なくありません。
ギフテッドは繊細な心を持ちます。周囲の状況を細かく察知できる分、自分の感情にも敏感だからです。そのため、自分への悪意や敵意を敏感に感じ取って傷ついてしまうことも多いです。
⑤深く激しい感情を持つ
ギフテッドは根本的に激しい感情や敏感な感覚を持っています。物事に対して徹底的に追求し、納得するまで周りを質問攻めにする特徴が、まさに当てはまります。
しかし、この過激反応に周りがついていけず距離を置かれてしまうことがあります。
その結果、友達も出来づらくなってしまいます。
才能ばかりを取り上げられますが、ギフテッドの子供たちは苦しい思いをしているかもしれません。せっかく神から贈られたギフトを、周囲の理解が得られぬまま潰してしまうのは勿体ないことですよね。

ギフテッドの子に友達は必要?
ギフテッドの子は1人で黙々と好きなことをしたり、何かに没頭すると周りが見えなくなるという特性があります。そのため、友達はいらないと思われる方もいるかもしれません。しかし、当然のことですがギフテッドにも友達は必要です。
ギフテッドでない人の中にも、大勢でいるより1人でいることを好む人がいます。しかし「1人の時間が好きだからといって、友達がいらない」というわけではありません。
考えてみてください。もしあなたにものすごく没頭できることがあったとして「没頭できることがあるから私は友達がいらない」となりますか?
おそらくならないですよね。没頭できることがあっても話ができる友達は欲しいし、没頭できることを共有できる友達がいればなお嬉しいですよね。
ギフテッドの子も同じです。
ひとりの時間も大切にしていますが、それと同じくらい友達との時間も大切にしています。そのため、話についていけない時や、仲間に入れない時には居場所のなさや、居心地の悪さを感じています。
「Vulnerabilities of highly gifted children」というギフテッドの孤立について書かれた論文では、以下のように記載されています。(下記日本語訳)
『ギフテッドが学校の中で上手くやり、その後の人生においても成功するという人生の成功は、ギフテッドの子にとって自然発生的なものではなく、環境によるサポートが大きく影響している。』
このことからも、ギフテッドにはサポートしてくれる人や、学校で一緒に学んだり遊んだり、時には相談できる仲間の存在が重要であることが分かります。
しかし、その一方で、前述した通りギフテッドは他の子供に理解されにくかったり、誤解されやすいため、コミュニケーションが上手くとれず孤立してしまうことも多いです。
ギフテッドにも友達が必要です。
そして、友達を作れるような環境を整えてあげることが重要です。
ギフテッドの子が真の友達を作るには
では、どのような環境を整え、どのように周りに接していけばよいのでしょうか。
2つポイントを紹介します。
①ソーシャル・スキルを向上させる
成長過程でソーシャル・スキルを自然に身に付けるのが難しかった場合は、ギフテッドの子がよく困難に陥っているシチュエーションを想定した上で、対人関係のスキルを挙げる練習をしてみましょう。例を3つ挙げます。
1.離感
人との距離が近過ぎたり遠すぎたりして、適切な距離感を掴めていない場合があります。距離のとり方にに違和感があれば、常に声かけをし練習をしましょう。
2.ボリュームコントロール
人と話す際に声量調整ができず、声が大きすぎたり、逆に小さいことがあります。コミュニケーションをとる上で声量の変化は相手に与える印象を変えます。常に意識できるように練習すると良いでしょう。
3.電話
電話になると何を話していいか分からなくなるギフテッドの子がいます。そういう場合は、友達や親戚に頼んで電話で話す練習をすることが必要です。
以上の3つは基本的なスキルアップの内容です。
他にも、共感を持って相手に寄り添う、初対面での自己紹介の練習などが挙げられます。いずれも対人関係における訓練です。自分の主張だけを通すのではなく、周りの人に対する振る舞いや言い方などを意識できるようになると、自分を理解してくれる相手も増えるでしょう。
②色々なコミュニティに所属し人付き合いの幅を広げる
ギフテッドの子供が周囲に沢山いれば、興味の共有もでき、一緒に遊ぶことも出来ます。しかし、大抵の場合は似た特性を持つ子供が周りにはいないというのが現状です。
そのような場合には、学校と学校以外の場所に居場所を作るのが良いとされています。例えばスポーツクラブ、レジャー活動団体、音楽バンド、社会貢献のボランティアなどが挙げられます。
また、「Vulnerabilities of highly gifted children」には、『真の友達は従事する活動によって変化することがある。知性が高いが運動能力が普通のギフテッドは、文学やチェスについて議論するための友達を何人か持ち、サッカーをする際には別の友達を何人か持つ』という記載があります。
居場所を作り、付き合う人を変えながら、気の合う仲間を見つけることが真の友達を作る鍵となります。それをするにあたっては、色々な場所へ連れ出して関わりや関心を広げることが重要であり、親や周りのサポートが必要不可欠です。
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